ゲンバクとよばれた少年

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仕事で訪れた長崎でこんな出会いがあるとは思ってもいなかった。

今まで多くの方から被爆証言を聞いてきたが、こんなにも悲しくて、人が許せなくなる話を聞いたことがない。しかし、その人はとても優しい口調で話をする。

たまたま入った本屋でぼーっと本を見ていた。

夏休みに子どもが読書感想文を書くための推薦図書のコーナーがあった。

そこに、あった1冊の本「ゲンバクとよばれた少年」中村由一さん著

なんとなく興味をもった。小学生向けなので、読みやすそうだな。とそんな不純な理由であった。

また、その日は偶然にもその本の作者と聞き取りをした人のトークイベントがあった。

元々の予定を少し早めに切り上げてトークイベントに参加した。

その前に本をしっかりと読んでいったが、内容が衝撃過ぎて思考がついて行かなかった。

あらすじ

由一さんは長崎の被差別部落出身。2歳10ヶ月の時に被爆した。

原爆が落とされた時には意識はなく、家族みなが由一さんが亡くなったと思ったという。

奇跡的に生き残ったが、頭と両足に大きな怪我をした。その後遺症のせいもあり、少し喋れていたことがしゃべられなくなり、歩けていたのに歩けなくなってしまった。

1949年に小学校へ入学。しかし、そこでは目を覆いたくなるほどのいじめがあった。

「ハゲ」「カッパ」「ゲンバク」と呼ばれたのだ。

子どもたちが悪ふざけとして言っているならまだしも、担任の先生が率先して悪口を言っていたのだ。

小学校を卒業し、社会人になる際も様々な差別を受ける。その要因がただ被爆者であるということだけでなくそこに被差別部落出身であったがためであった。由一さんはそこで初めて自分が部落出身であることをしるのだ。

イベントへ

会場に入ると著者の中村さんがいた。

とても優しい口調で淡々と話をする中村さんの姿がとても印象的だった。

内容は本同様とても悲しく許せないものばかりだった。

被爆者というだけでそもそも差別される対象である。

多くの被爆者の方の差別される話は被爆者だからということが大きい。しかし、そこに被差別部落出身ということが含まれるのである。

本を読んでいるだけでもとても悲しく苦しくなる。なんで?なんで?と何度も問いかけてしまう。

印象的だった言葉ある。

由一さんは多くの学校でご自身の体験の話をするという。そこで、必ず子どもたちに伝える。「差別やいじめは無くなると思うか?」と。

私自身は無くなるなんて不可能ではと思ってしまう。

しかし、由一さんははっきりと言っていた。「差別やいじめは必ずなくなるよ」と。

たくさんのいじめや差別を受けた子ども時代。

それなのに、いじめた生徒や先生に対しても憎しみや恨みの言葉は一切でないのだ。

この本を読んで由一さんの生き方や体験を知ってほしい。

そして、なぜいじめや差別は無くなることが出来るのか吉一さんの言葉を紡いでほしいと思う。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

埼玉県で生まれ育つ。 現NGO職員。世界4周経験。その中で、広島・長崎の被爆者の方とふれあいを通して戦争を知らない世代こそ継承していくことの必要性を強く感じる。戦争を知らない世代の子どもたちに伝えていく活動をしている。 趣味:読書・映画鑑賞・旅行 好きなもの:ディズニー・アメフト・関ジャニ∞